論理実証主義は、戦後しばらくの間、日本の哲学界で一定の勢力を持ちました。しかしリーダーであったシュリックの著作は殆ど邦訳されていません。早世したためまとまった著作が少ない、という理由もありますが、カルナップ、ライヘンバッハらの邦訳が充実していることを考えると、少し寂しいものがあります。
『科学としての倫理学』
亜紀書房, 1980。意外にも、唯一邦訳された著作は、哲学ではなく倫理学の書籍です。原書名は Fragen der Ethik、『倫理学の諸問題』です(このタイトルで1967年に法律文化社からも一度邦訳されています)。
『現代哲学基本論文集』1巻
勁草書房, 1986。シュリックの論文「事実的ア・プリオリは存在するか」が収録されています。
『Gesammelte Aufsatze, 1926-1936』
Hildesheim, 1969。シュリックの全集。原文がドイツ語のものはドイツ語で、英語のものは英語で収録されているのがありがたい。
『言語哲学大全 II巻』
飯田隆, 勁草書房, 1989。「また『大全』か」と言われるでしょうが、また『大全』ですよ。シュリック(論理実証主義)の意味論についてまともな解説を得たいなら、最初に読むべきです。
『ウィーン学団―論理実証主義の起源・現代哲学史への一章』
V.クラーフト, 勁草書房, 1990。ウィーン学団の歴史的展開をコンパクトに知るには良い本です。
『流れとよどみ』
大森荘蔵, 産業図書, 1981。論理実証主義の哲学を知る最良の方法は、大森氏の初期のテキスト読むことだと、個人的には思います。論理実証主義に直接の興味がない人でも、哲学を知りたいと思う人なら、読んで損をしません。
「よい子の分析哲学」
コミカルな対話で行なわれる論理実証主義の入門サイト。ブラック・ジョークも程よく効いて飽きさせません。